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美人の能面は本当に美人なのか?
「昔の人ってどんな顔してたんだろう?」

という単純な好奇心がある訳なのです。どうしても知りてぇ!!ってほどじゃないけど、辻ちゃんの妊娠よりはずっと気になってる訳なのです。

足がかりの基本は絵画ですね。
日本には“肖像画”とか“頂像”という絵画ジャンルがあるため、これらの遺産を以てその人がどういう顔をしていたのかを想像するしかないのですが、日本の絵画は実に平面的です。色づかいもある意味サイケなので、その特徴を上手く捉えているとは言い難いのが現状です。…現状?

もうひとつの基本は彫刻。
日本の彫刻は仏教伝来とともに飛躍的に進歩を遂げ、おそらく西洋のそれを凌駕するような精緻な造りを誇っているものの、彫像の対象はあくまでも“仏”。そこに当時の日本人の面影を求めるには不的確ですね。

そこでクローズアップされるのが「能面」の存在。

能が完成するのは世阿弥・観阿弥の登場する室町時代初期。演者(シテやワキ)は基本的に壮年の男性であるため、女性や老人、神や怪物を演じるときのみ面をつけます。もちろん例外もありますが・・・。なので女性の面は現実世界の女性を写実してると言っても過言ではないのです。

一般的に「おかめ顔」と認識される能面ですが、果たしてどうなんスかね?
今回は金剛流などで美人の役に使われる『孫次郎・ヲモカゲ』を使って実験してみましょう。


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これが『孫次郎』です。


まずは、肌を彩色してみましょう。天井眉も消しちゃえ!
美人の能面は本当に美人なのか?_b0026483_1981721.jpg
こんな感じ


続いて、眉をつけて(当時の女性は眉を剃っていた)、目に眼球を入れ、口唇の色を直して、鉄漿(お歯黒)を付けた歯をきれいに・・・
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ちょっとリアルになってきた・・・


そして最後は髪型。
ここはひとつ春らしくて活動的な「ふわふわボブ」をチョイス。室町時代の女性にカジュアルなボブは似合うのか?ついでにまつげも付けとこう。さてさて、如何に・・


・・・。


!!美人の能面は本当に美人なのか?_b0026483_19171983.jpg
こ、これは・・・


なんとなく首から下もつけてライティングも合わせてみたら・・・
美人の能面は本当に美人なのか?_b0026483_1919586.jpg
これってどう見ても 常盤 貴子 ですよね?

〈結論〉
室町美人は常盤貴子みたいな顔だった。


このほかにも女性の能面だけでも何種類もあるので、全部が全部常盤貴子じゃないと思うけど。



それにしても能面って調べてみると想像をはるかに超えて面白かった。
個人的に好きなのは、『大飛出』って面。
美人の能面は本当に美人なのか?_b0026483_19231663.jpg
この造形デフォルメって天才的に素晴らしいって思わない?時代を超えてクリエイティブだわ。
by unbridledblue | 2007-05-11 19:24 | そぞろな疑問
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